オフィスのサーバールームを設計!押さえるべき重要なポイントとは
オフィス業務を行ううえで、インターネット環境の整備は必要不可欠な要素です。そんなデジタル基盤を支える中心的なスペースにサーバールームがあります。ネットワークやデータベースを安全に管理し、各種ネットワーク機器が配置される重要なスペースです。そんなサーバールームを設計するためには、ポイントを抑えて設計する必要があります。今回の記事では、サーバールームの基本設計やレイアウトなど重要なポイントについて詳しく解説していきます。
オフィスのサーバールームの基本設計
オフィスのサーバールームを設計する際には、基本設計のポイントを抑えておくことが重要です。効率的で安全なサーバールームの設計には必要な要素です。サーバールームの設計にさまざまな要素を考慮する必要があります。
- サーバールームのスペースの選定
- サーバーの冷却システム
- 電源の供給方法
- ネットワーク設備の管理
- セキュリティ対策
- メンテナンス性
上記のポイントが基本設計では重要となってくるため、それぞれの役割を理解しておくことが必要です。
サーバールームの重要性と役割
サーバールームは企業のITインフラの中心的役割をはたす重要なものです。その具体的な重要性と役割には、以下のようなものがあります。
- データ管理
サーバールームでは、企業のさまざまなデータを管理しています。顧客情報をはじめ重要なデータが多く管理されています。それらを適切に管理されることで、データの保護と信頼性が確保されます。 - ネットワーク管理
業務を行う中でインターネット環境の整備は必要不可欠です。ルーターやサーバー、ファイアウォールなどのネットワーク機器が適切に管理されていなければ、適切なパフォーマンスが実行できません。サーバールームでは、そんなネットワークの管理を円滑に行う役割をはたしています。 - セキュリティ管理
企業の機密性の高いデータなどを管理しているサーバールームでは、セキュリティ管理も重要な要素です。物理的な対策としてアクセス制限や監視カメラの設置し、大事なデータを守ります。データの保護や不正アクセス防止なども実施、データを守る重要な場所といえます。
上記のようにサーバールームは、重要な役割をはたしている場所であり、企業全体の業務を効率的に進めるために必要な場所であるといえます。
中小企業におけるサーバールーム設計のポイント
サーバールームはさまざまな機器を設置や専用のスペースを確保する必要があります。中小企業などでは、専用のスペースを広くとることが困難な場合もあるでしょう。そんな中小企業におけるサーバールーム設計のポイントには以下のようなものがあります。
- ラックマウント型サーバーを使用して、垂直方向に積み上げスペースを有効活用する。
- 専用のクーリングユニットを設置し、空気循環の効率化を行う。
- ケーブル類はまとめて無駄を省く。
- 電源やスイッチが内蔵されたラックを使用し、省スペース化を行う。
- コンパクトなネットワーク機器を使用する。
上記のように、使用する機器などの選定によって省スペースが可能であるため、限られたスペースを効率よく使用して機能的なサーバールームの設計を進めましょう。
サーバールームレイアウトの基本
サーバールームのレイアウトを決定する際には、さまざまな要素を考慮する必要があります。機器の設置位置や動線の確保、セキュリティ対策などさまざまです。そんなサーバールームレイアウトの基本として抑えるべきポイントがあります。
- 効率的な動線の確保
- ゾーニングの重要性
上記のポイントについて詳しく解説していきます。
効果的な動線の確保
サーバールームの動線を確保することは、効率的な作業環境やメンテナンスのしやすさにつながります。効率的な動線の確保を行うために、以下のポイントに注意しましょう。
- ラックの配置
機器の配置などで使用するラックは、ラック間に十分なスペースを確保し整理整頓された状態を保つことが重要です。動線の邪魔にならず、メンテナンス時のアクセスのしやすさにもつながります。 - 通路の設置
サーバールーム内の通路の確保も重要です。通路のスペースには、障害物になるようなものは置かず常にクリアな状態を維持しましょう。 - ケーブルの管理
サーバールームでは、ネットワーク機器多く配置されそれらを使用するための、ケーブルが多く配備されます。そのためケーブルはなるべくまとめて、動線の邪魔にならないように配置する必要があります。ケーブルラックなどを使用して配線をまとめる工夫が必要となってきます。 - アクセスの管理
ネットワーク機器の前面と後面どちらからもアクセスできる配置が理想的です。作業性の向上とメンテナンス性の向上が期待できます。 - メンテナンス性の高さ
ネットワーク機器は定期的なメンテナンスが必要であり、機器の故障は業務に影響がでるため迅速な対応が必要です。そのため、メンテナンスのしやすい動線を確保することが重要となってきます。
上記のポイントを意識して効率的な動線の確保を進めていきましょう。
ゾーニングの重要性
サーバールームのレイアウトを決める際には、ゾーニングは非常に重要です。ゾーニングを行うことで、サーバールームに必要なゾーンが明確化され、レイアウトの検討がしやすくなってきます。サーバールームはさまざまなゾーンによって形成されており、その種類に以下のようなものがあります。
- 冷却ゾーン
熱を持ってしまうネットワーク機器の冷却を目的としたゾーン。 - 電源供給ゾーン
無停電電源装置の設置や、配電盤などの安定した電源の供給を行うゾーン。 - ネットワークゾーン
ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の設置やケーブル管理を行うゾーン。 - セキュリティゾーン
重要な機器を置くアクセス制限エリアや監視カメラの設置を行うセキュリティゾーン。 - メンテナンスゾーン
メンテナンスや修理を行うための作業エリアや備品を保管するゾーン
上記の各種ゾーンをバランスよく組み合わせて、最適なレイアウトを決めていきましょう。
サーバールームのセキュリティ対策
サーバールームのセキュリティ対策は、企業の重要なデータやシステムを守るための重要な役割をはたしています。顧客情報、社内の機密情報など重要な情報は多くあります。これらの情報を守り、管理していくためにセキュリティ対策は必要不可欠です。そんなセキュリティ対策の効果を高めるためのポイントについていくつか紹介していきます。セキュリティ強化の参考にしてください。
入退室管理システムの導入
サーバールームのセキュリティ対策の強化に、入退出管理システムの導入がおすすめです。具体的な機能として以下のようなものがあります。
- 誰がいつ入室して退出したのか記録できる。
- 特定の時間や人物に対してアクセスの制限をかけられる。
- 不正アクセスや異常な動きがあった場合にアラーム通知が行われる。
- 入退出の履歴やアクセス履歴などの記録が保存される。
入退出管理システムを導入することで、これらの機能を使用してセキュリティの強化が行えます。導入にあたってはコスト面やシステムの選定などが必要となってきますが、検討してみることをおすすめします。
サーバー室の消防法に基づく設計
サーバールームで使用する機器は、高温を発するものが多く、火災のリスクを増大させてしまいます。そのため消防対策を実施することが必要となってきます。火災によって重要なデータの焼失してしまってはいけないので、適切な対策を実施しましょう。そんな消防対策には以下のようなものがあります。
- 天井や壁には耐火性のある材料を使用する。
- 熱を外部に排出するため、換気システムの導入が必要。
- スプリンクラーなどの自動消火システムの導入も有効。
- 防火シャッターを設置し火災が広がるのを防ぐ。
これらの消防対策を実施することで、サーバールームの安全を守ることが可能となっています。しかしこれらの対策には、大きなコストが発生するものもありため、コストや機能を比べて対応する必要があります。
オフィスのスペースを有効活用する
サーバールームは専用のスペースを用意できる企業ばかりではありません。専用のスペースを設けることが困難な企業の場合は、オフィスのスペースを有効活用してスペースを確保する必要があります。例えば物置を整理整頓、不要なものを処分してサーバールームとして使用する方法などがあります。ネット環境の整備や電源の確保など部分的に改装を行う必要が出てきますが、スペースを確保することは可能です。その他にも、専用の部屋がなくてもオフィスの空いたスペースなどをパーテーションなどで仕切ってサーバー用のスペースを確保する方法もあります。この場合はセキュリティ対策に不安が残るのでセキュリティ面の強化は必要です。オフィス内の限られたスペースを有効活用して、サーバールームのスペースをつくりだしていきましょう。
サーバールーム設置事例について
適切なサーバールームの設置は、業務効率化にもつながりさまざまな効果が生まれます。そんなサーバールーム設置の成功事例についていくつか紹介します。
- 教育機関のサーバールーム
大学や研究機関では、多くのデータを取り扱います。さらに学生、研究者といった立場の違う人が共通で使用することが想定されます。そのため、アクセス制限や入退出管理システムを導入し、安全なデータの保管、情報の漏洩を防ぐことにつながっています。 - 企業のデータセンター
企業のデータセンターはサーバールーム設置によって、重要で社外に漏れてはいけない情報を安全に管理が可能とし、信頼の向上につながっています。 - 医療機関のサーバールーム
患者のデータを安全に管理するためサーバールームの設置を進めています。個人情報となるデータであるため、安全なデータ管理が必要です。サーバールームの機能が向上すれば、医療の質向上にもつながっていきます。
失敗しないための事例
サーバールームの設置を失敗しないために、いくつかのポイントを抑えておく必要があります。失敗しないためのポイントは以下のようなものがあります。
- 適切な冷却システム
- セキュリティ対策が不十分
- 不安定な電源供給
- 不適当なレイアウト
上記のポイントは失敗事例であるため、サーバールーム設置の失敗を防ぐためにポイントの内容なしっかりと抑えておきましょう。
サーバールームにおける環境管理
サーバールームに設置する機器は、使用忠に高温の熱を発する機器があるため、室内の環境管理が必要です。火災にもつながるため、環境管理を徹底してサーバールームの環境を最適化することが求められます。そんなサーバールームの環境管理の適性化を実施するために、温度や湿度の管理、感染症対策を考慮した設計について詳しく解説していきます。
温度・湿度の最適管理
サーバールームは適切な温度と湿度を保つことが重要です。これはサーバーの性能を最大限引き出すこと、故障へのリスク軽減のために必要なことです。サーバールームの適切な温度は18~24℃、湿度は40~60%が適しているとされています。そんなサーバールームの温度・湿度管理をするためには以下の方法があります。
- サーバールームのサイズに合った冷却システムの導入
- 空調システムの導入で温度と湿度の安定化
- ヒートシンクの定期的な清掃
- 湿度センサーの設置で湿度のモニタリング
これらの方法を組み合わせて温度と湿度の最適化を進めていきましょう。
感染症対策を考慮した環境設計
サーバールームの感染症対策も非常に重要です。重要なデータを管理しているため、サーバールームでの感染症リスク軽減が求められます。感染症対策の方法としては以下の対策を行いましょう。
- 定期的な清掃を行い清潔な状態を保つ
- 温度と湿度を適切に保ち、病原菌の発生繁殖を防ぐ
- 入退室の際には、手指の消毒を徹底する
上記の基本的な対策をしっかり行い、感染症のリスクを軽減させていきましょう。
まとめ
今回の記事では、オフィスのサーバールーム設計の重要なポイントなどについて詳しく解説していきました。企業のさまざまなデータを安全に管理、業務に必須なネットワーク環境の安定など重要な役割をはたしているのがサーバールームです。サーバールームを快適で機能的なものとするためには、多くの要素を考慮して設計する必要があります。企業の規模によって、必要なスペース導入する機器などは変わってきますが、今回の記事を参考に、自身の企業に適したサーバールーム設計を行ってください。