OAフロアとは?OAフロアのオフィスを賃貸するメリット・デメリットや注意点を解説!
OAフロアは、配線を床下に収納し、オフィス環境を安全かつ快適にするフロアです。特に精密機器を多く設置するオフィスでは、OAフロアを採用することで、機器の安全性や作業効率の向上が期待できます。そこで本記事では、OAフロアの基礎知識や種類、メリットやデメリット、選ぶ際のポイントや注意点について解説します。
OAフロアとは
OAフロアとは、ケーブルやコンセントなどの配線を床下に収納する空間を確保するために活用される二重構造でできたフロアことをいいます。配線を床下に隠すことでオフィスをスッキリさせ、配線に足を引っかける危険性を軽減することで、オフィス環境の安全性や生産性向上に役立つ製品です。また、OAフロアを導入することで、配線の位置を変えたり、レイアウト変更したりしやすくなります。OAフロアは、オフィス以外にもデータセンターや通信機器を利用する施設、学校や図書館など、配線管理が必要な場所で導入されています。
OAフロアの種類とその特徴
OAフロアには、大きく分けて「置敷式簡易OAフロア」「置敷式溝配線OAフロア」「支柱調整式OAフロア」の3種類があります。ここでは、各フロアの特徴について解説します。
置敷式簡易OAフロア
置敷式簡易OAフロアとは、簡易的に設置できる、支柱がついたパネルを床に置くフロアのことをいいます。このフロアは、樹脂やプラスチックなどの軽い素材で作られているため、安価かつ軽量で建物に負担をかけずに設置できるメリットがあります。また、このフロアは短期間で設置できるため、施工費用を抑えられることも嬉しいポイントです。ただし、置敷式簡易OAフロアは支柱の高さが固定された仕様になっているため、フラットではない床や段差の多い場所には設置できない場合があります。
置敷式溝配線OAフロア
置敷式溝配線OAフロアとは、支柱がついていないパネルを床に敷き詰めるフロアのことをいいます。このフロアは、配線をパネル表面の溝に収納し、その上部にカバーを被せて保護する仕組みになっています。また、このフロアは配線の収納容量に限りがある一方で、レイアウト変更しやすい点がメリットです。ただし、置敷式溝配線OAフロアには支柱がついていないため、置敷式簡易OAフロアと同様に、フラットではない床や段差の多い場所には設置できない場合があります。
支柱調整式OAフロア
支柱調整式OAフロアとは、ビスで床に固定するタイプの支柱がついたパネルを床に置くのフロアのことをいいます。このフロアは、スチールなど固い素材で作られているため、コンクリートと同様の耐久性と耐熱性を持っています。また、このフロアは支柱の高さを調整できる仕様になっているため、床の形状や段差に合わせて設置できることが特徴です。ただし、支柱調整式OAフロアは支柱と床の固定にビスを使用するため施工期間が長く、ビスの使用に対して管理会社の了承をもらう必要もあります。支柱調整式OAフロアは、その耐久性や耐熱性、耐荷重性の高さから、大規模オフィスやサーバールーム、データセンターなどの重要施設で多く使われています。
OAフロアのメリット
OAフロアにはさまざまなメリットがあり、いずれもオフィス環境の改善に役立ちます。ここでは、OAフロアのメリットについて解説します。
配線で足を引っかけなくなる
OAフロアは、オフィス家具などの配線が露出せず、足を引っかける心配のないことがメリットです。OAフロアのないオフィスでは、ケーブルやコードを断線させ、機器を故障させるリスクがあります。
オフィスのレイアウトが簡単になる
OAフロアは、レイアウトを変更しやすい点がメリットです。OAフロアであれば、配線の位置変更や増設が簡単で、レイアウト変更がしやすくなります。
オフィスの見栄えがよくなる
OAフロアは、すべての配線が床下に隠されるため、オフィス全体に見栄えの良さや清潔感をもたらすことがメリットです。また、来客やクライアントに対しても良い印象を与えられ、企業や店舗のイメージアップに繋がります。
掃除がしやすくなる
OAフロアは、配線が露出していないため、オフィスを掃除しやすい点がメリットです。また、オフィスの衛生状態を良好に保ち、従業員が快適に働ける環境を提供します。
OAフロアのデメリット
OAフロアにはさまざまなメリットがありますが、一方でいくつかのデメリットも存在します。ここでは、OAフロアのデメリットについて解説します。
平らな床にしか設置できない
置敷式OAフロアは支柱や脚が固定されているため、平らな床にしか設置できない仕様になっています。また、段差の多い床に設置しようとする場合も同様で、不安定になる可能性が高まります。
高さを調整できない
置敷式OAフロアは支柱や脚が固定されているため、高さ調整ができない仕様になっています。オフィスの床面が高過ぎると、天井からの圧迫感を感じてしまう恐れがあるため、導入を検討する際には注意が必要です。
耐荷重性が低い
OAフロアは床下に配線を通す構造のため、耐荷重性の低くなる可能性があります。重い什器や複合機などを置いてしまうと、フロアがたわんだり、破損したりするリスクが高まります。
傾きや凹凸がある床には設置しづらい
置敷式OAフロアは、傾きや凹凸がある床には設置しづらいことがデメリットです。床に傾きや凹凸がある床にOAフロアを置いてしまうと床面に傾斜ができてしまい、転倒など事故のリスクが高まります。
OAフロアを選ぶ際のポイント
OAフロアを選ぶ際には、押さえておくべきポイントがあります。ここでは、OAフロアを選ぶ際のポイントについて解説します。
施工期間
OAフロアの施工期間は、オフィスの規模やOAフロアの種類によって異なりますが、小規模オフィスであれば、1日で施工が完了する場合もあります。一方で、大規模オフィスの場合、施工に数日から数週間かかるケースもあります。
施工費用
OAフロア施工費用の内訳には、OAフロア本体の価格・タイルカーペットの価格・段差解消に用いるスロープの価格・施工に必要な部材の費用・工事費用・運搬や搬入費用・諸費用などが含まれます。導入を考える際には、これらを踏まえたうえで概算費用を算出することが必要です。
置敷タイプの施工費用は、1㎡あたり2,500~3,000円程度が相場となっています。置敷タイプは支柱調整式タイプに比べて、短期間かつ低費用で施工できることがメリットです。一方で、支柱調整式タイプの施工費用は、1㎡あたり5,000~6,000円程度が相場となっています。支柱調整式タイプは、フロア自体が高価であり、施工期間も長くかかるため、費用が高くなりがちです。
耐荷重
OAフロアを選ぶ際には、耐荷重をチェックすることは重要です。あまり重量のないオフィス家具などを置くのであれば置敷タイプを選んでも問題ありませんが、什器やサーバーラック、複合機や自動販売機などを置くのであれば、支柱調整式タイプを選ぶ必要があります。耐荷重が不足したOAフロアを選んでしまうと、床面が歪んだり破損したりするリスクが高まります。
タイプと材質
OAフロアには、置敷タイプや支柱調整式タイプがあり、使用用途や条件に応じて選択する必要があります。また、材質についても、樹脂やプラスチック、スチールやアルミ、ウッドコアや金属などがあり、安全性を担保できるOAフロアの選択が重要です。
増設のしやすさ
OAフロアを選ぶ際には、将来的なオフィスの拡張やリニューアルに備えて、増設のしやすいタイプを選ぶことが大切です。レイアウトを頻繁に変更するオフィスには、施工後でも増設しやすい置敷タイプのOAフロアが向いています。
配線の収納方法
OAフロアの配線収納方法には「パネル下配線方式」と「溝配線方式」の2つの方式があります。パネル下配線方式は、脚や支柱でできた空洞に配線を収納する方式です。もう1つの溝配線方式は、パネルの溝に沿って配線を収納し、その上にカバーをかぶせ配線を保護する方式になっています。パネル下配線方式は配線の収納容量が大きいこと、溝配線方式は配線の変更や増設しやすいことがメリットです。
配線の収容容量
OAフロアはタイプによって収納できる配線の容量が異なるため、事前に必要な配線量を計算しておく必要があります。特に、大規模なオフィスの場合には、将来的な配線の増加も考慮し、十分な収納容量を確保できるタイプを選んでおくことが重要です。
OAフロアを施工する際の注意点
OAフロアは、配線を隠しオフィスの見栄えがよくなる一方で、施工することで生じる不具合も存在します。ここでは、OAフロアを施工する際の注意点について解説します。
天井高
OAフロアを設置すると床の高さが上がるため、天井が近くなり窮屈さを感じる場合があります。そのため、導入する前にはあらかじめオフィスの天井高をチェックし、天井があまり高くない場合には、床上げ高の低いOAフロアを選ぶ必要があります。
段差やスロープができる
OAフロアを設置すると、オフィスと廊下の間に段差が生じる場合があります。これにより、つまずきや転倒などのリスクが高まります。そのため、段差が生じる場所にはスロープを設置し、緩やかな勾配を設けることが求められます。
耐荷重の小さい製品もある
OAフロアにはさまざまな製品があり、その中には耐荷重の小さい製品もあります。このような製品は、軽量のオフィス家具などには対応できますが、重い什器や複合機を設置する場合には注意が必要です。
OAフロアに適した仕上げ材の種類
タイルカーペット
タイルカーペットは、OAフロアの仕上げ材として最もメジャーな製品です。タイルカーペットは、1枚ずつ取り外すことで配線にアクセスできるため、配線の敷設や交換がしやすく、メンテナンス性に優れています。また、防音性や吸音性、抗菌性や防汚性など多様な機能性を持つことも選ばれるポイントです。さらに、カラーやデザインのバリエーションも豊富で、企業ブランドに合わせやすい点も挙げられます。
フロアタイル
フロアタイルは、ノンワックススタイルで汚れがつきにくく、水拭きのみで汚れが取れる仕様になっています。また、厚みが5㎜以上の製品もあり、段差や隙間などの不陸が目立ちづらくなる特徴もあります。さらに、フロアタイルには、木目調や石目調など豊富なデザインがあるため、空間に調和させやすいことも嬉しいポイントです。
フローリングタイル
フローリングタイルは、木材の質感を持ちながらも、耐久性や耐水性の高いことが特徴です。フローリングタイルを貼ることで、オフィスに温かみを持たせ、ナチュラルな雰囲気を演出できます。また、天然木に特殊なセラミック塗装を施されているため、高い耐摩耗性を持っています。さらに、天然木は静電気の発生を抑制するため、サーバールームなど精密機械を設置する部屋での使用に最適です。
まとめ
この記事では、OAフロアの種類とその特徴、OAフロアのメリットとデメリット、OAフロアを選ぶ際のポイントや注意点、仕上げ材の種類について解説しました。OAフロアのメリットとして、配線で足を引っかけないことやレイアウト変更しやすいこと、オフィスの見栄えがよくなることなどが挙げられます。
反対に、平らな床にしか設置できない場合があることや高さ調整ができないこと、耐荷重性が低い製品もあることなどがデメリットです。また、OAフロアを選ぶ際のポイントとして、施工期間や施工費用、耐荷重や増設のしやすさ、配線の収納方法や収納容量などがあります。さらには、施工後の天井高、段差やスロープ、耐荷重の小ささなどにも気を配る必要があります。
OAフロアは、いずれも製品もオフィス環境を劇的に改善できる優れた製品です。ただし、一度敷設してしまうと簡単には交換できないため、導入する際には事前に十分な知識を得ることが求められます。この記事にある内容を参考に、快適で効率よく仕事ができるオフィスの構築にお役立てください。