事務所衛生基準規則とは?改正のポイントや罰則についても解説!

事務所衛生基準規則とは?改正のポイントや罰則についても解説!

事務所衛生基準規則は、事務所の適切な労働環境を規定し、事務所内で働く従業員の安全と健康を守る目的で定められた規則です。
事務所を設立する際には、事務所衛生基準規則を遵守する必要があり、違反した場合には罰則が科される場合もあります。
この記事では、事務所衛生基準規則の概要と管理項目、改正のポイントや罰則について解説します。
この記事を最後までお読みいただき、事務所の快適な環境づくりにお役立てください。

事務所とは

事務所とは、企業や団体が業務をおこなうオフィスのことです。
具体的には、パソコン作業や電話応対、来客対応や打ち合わせなどの業務をおこなう場所が事務所に該当します。
事務所衛生基準規則における事務所とは、従業員が事務作業をおこなう場所を対象とし、通常のオフィスや行政機関の建物全体などが対象です。
反対に、工場や店舗においては、商品の製造所や商品を販売する場所は事務所に該当しません。

一方で、工場や店舗の一部に事務作業をおこなう場所を設ける際には、事務作業をおこなう場所のみが事務所としてみなされます。
この事務所に該当する部分のみ、事務所衛生基準規則を遵守する必要があります。 

事務所衛生基準規則とは

事務所衛生基準規則は、事務所の適切な環境を維持し、従業員の安全と健康を確保する目的で定められた規則です。
具体的には、建築物に対する規定や事務室の環境管理、清潔の保持義務、休憩設備や休養に関する規定、必要な救急用具など、事務所における労働環境の最適化に関する管理項目が規定されています。
この規則を適切に遵守し、働きやすい環境を実現することで、業務効率や生産性の向上を高めることに繋がります。

事務所衛生基準規則と労働安全衛生規則の違い

事務所衛生基準規則と労働安全衛生規則は、いずれも労働環境の安全と健康を確保するための規則ですが、その適用範囲や規定内容には違いがあります。
労働安全衛生規則は、快適な労働環境を形成し、労働者の安全や健康の確保を目的とする規則です。
一般的な事務所は、事務所衛生基準規則と労働安全衛生規則の両方を遵守し、労働環境の管理をおこなう必要があります。
一方で、小売店や飲食店、工場などは事務所に該当しないため、労働安全衛生規則のみを遵守します。

事務所衛生基準規則の管理項目

事務所衛生基準規則は、事務所における従業員の安全と健康を確保する目的で、必要な衛生基準を規定しています。ここでは、事務所衛生基準規則の管理項目について解説します。

総則(第1章)

第1章では、事務所衛生基準規則が適用される建物を示しています。
規則が適用される建物の要件として、従業員が事務作業をおこなう場所としての事務所だけでなく、店舗や倉庫、興行場の一部に設置された事務機器のある事務作業をおこなう場所としています。

一方で、学校や病院、工場や劇場などの特殊建造物は対象にはなりません。
また、建築物の規模については問わず、一部分の使用であっても規則が適用されるとしています。

事務室の環境管理(第2章)

第2章では、温度や換気、設備や燃焼器具といった空気環境に関する規定のほか、照明と騒音伝ぱ防止などの環境管理に関する規定についても定めています。

気積・換気・温度の規定

事務所内の気積(空間の容積)は、1人当たり10㎥以上を確保する必要があると規定しています。
また、換気については、窓などの開放可能な面積が床面積の20分の1以上とするほか、常に空気は一酸化炭素50ppm以下、炭酸ガス0.5%以下を維持するよう定められています。

さらに、事務所内の温度について、夏季には、冷房で外気温より著しく低い室温にしないこと、冬季には、室温が10℃以下の場合は暖房による適切な調節が必要です。

空気調和設備と機械換気設備の規定

空気調和設備から供給される空気は、浮遊粉塵量1㎥あたり0.15mg、一酸化炭素10ppm以下、二酸化炭素0.1%以下、ホルムアルデヒドが1㎥あたり0.1mg以下でなければならず、設備利用時の室内空気については、気流0.5m/s以下、室温17〜28℃・湿度40〜70%と細かく規定されています。

また、機械換気設備については、浮遊粉塵1㎥当たり0.15mg以下、一酸化炭素10ppm以下、炭酸ガス0.1%以下、ホルムアルデヒド1㎥当たり0.1mg以下、気流0.5m/s以下と定められています。

燃焼器具の規定

暖房器具などの燃焼器具を設置する場合には、一酸化炭素の充満を防止する換気設備の設置が定められています。
また、燃焼器具利用時の室内空気については、一酸化炭素50ppm以下、二酸化炭素0.5%以下を保たなければなりません。

照明と騒音伝ぱの防止規定

照明の設置方法では、明暗の対比が極端ではなく、眩しく過ぎないよう設置することが求められています。
また、照度については、一般的な事務作業の場合300ルクス以上、付随的な作業の場合150ルクス以上と定められています。

さらに、騒音伝ぱ防止の観点では、従業員にとって有害な騒音や振動がある場合には、隔壁などの防止措置をおこなわければなりません。

清潔(第3章)

第3章では、事務所内の清潔さに関する規定が定められています。

給水と排水設備の規定

事務所の給水に関する規定として、給水栓の残留塩素について通常時では、遊離残留塩素0.1ppm以上、結合残留塩素0.4ppm以上、汚染などの場合には、遊離残留塩素0.2ppm以上、結合残留塩素1.5ppm以上でなければならないと定められています。
また、排水設備については、水質汚染防止の観点から、補修や清掃など適切な防止策をおこなうことが規定されています。

清掃・ねずみ等の発生防止の規定

清潔に関する規定では、日々の清掃はもちろん、6ヵ月に1回の頻度で、定期的な大掃除と調査が義務づけられています。
また、調査の際には、ねずみや害虫などの発生場所や侵入経路を調べ、発生に対する防止策などの措置を講じることが定められています。

廃棄物の規定

従業員には、事務所を清潔に使用する義務があります。
廃棄物の処理についても、適当な場所に捨てるのではなく、定められた場所に廃棄することが規定されています。

トイレや洗面設備等の規定

トイレについては、男性用と女性用に分け、男性用の場合では大便器を60人ごとに1個以上、小便器を30人ごとに1個以上、女性用の場合では便器を20人ごとに1個以上設けることが必要です。

休養(第4章)

第4章では、従業員が休憩や休養を取るための規定が定められています。
50人以上の従業員もしくは30人以上の女性従業員を雇用する際には、男性用と女性用に区別した休養施設の設置が義務づけられています。

また、夜間の睡眠や仮眠が必要な業務では、男性用と女性用に区別した仮眠場所を設置し、寝具などの準備や疾病に対する感染対策の措置が講じられていなければいけません。

救急用具(第5章)

第5章では、万が一の事故や体調不良に備え、救急用具を常備することが義務づけられています。
事業者は必要な救急用具を備えたうえで、その保管場所と使用方法を周知しなければならないと規定しています。

事務所衛生基準不規則に違反した場合の罰則

事務所衛生基準規則に違反した場合、企業には罰則や行政指導が課される場合があります。
具体的には、事務所衛生基準規則に違反すると、法人の代表者および事業所の代表者に対して6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される場合もあります。

事務所衛生基準規則改正後の変更点

職場衛生基準規則は、2021年12月1日に改正されました。ここでは、事務所衛生基準規則改正後の変更点について解説します。

照度の基準

照度の基準に関して、改正前には「精密な作業」「普通の作業」と区分されていたものが「一般的な事務作業」にまとめられ、必要な照度は150ルクス以上から300ルクス以上、「粗な作業」は「付随的な事務作業」とされ、必要な照度は70ルクス以上から150ルクス以上に改正されました。

トイレの設置基準

トイレの設置基準に関する改正では、同時に就業する従業員が常時10人以内の場合には、独立個室型トイレの設置が義務づけられました。
なお、同時に就業する従業員が常時10人以上になる場合には、男性用と女性用に区別したトイレを設置することが規定されています。

休養室・休養所の設置

休養室や休養所における設置基準の留意点として、常時50人以上または常時女性30人以上の従業員を使用する事業者は、休養室もしくは休養所を男性用と女性用に区別して設けることが義務づけられています。

また、休養室や休養所では、体調不良の従業員が横になって休むことを想定し、プライバシーと安全が確保されるよう設置場所に対する配慮が求められています。

事務所内の室温

事務所に空気調和設備を設置している場合には、従業員が常時就業する場所の気温に対する努力目標が「17℃以上28℃以下」から「18℃以上28℃以下」に改正されました。

一酸化炭素・二酸化炭素の測定

一酸化炭素や二酸化炭素の測定に関しては、検知管方式と同等以上の性能を持つ測定器として、一酸化炭素の測定では「定電位電解放」二酸化炭素の測定では「非分散型赤外線吸収法(NDIR)」が追加されると明記されています。

救急用具の内容

常備品目の規定が削除され、衛生管理委員会などで検討をおこなった結果、想定される労働災害などに応じた応急手当てに必要なものを備えるよう記しています。

事務所衛生基準規則と衛生管理者の関係

衛生管理者は、事業所の衛生管理を担う、労働安全衛生法に基づいて設置が定められた専門家です。
彼らは、職場の衛生状態、設備や作業手順などに対する危険性の有無をチェックし、従業員の健康被害を防止することが主な役割です。

事務所衛生基準規則における休養と休憩

事務所衛生基準規則では、従業員の健康維持と労働環境の向上を図るため、適切な休養室もしくは休憩室の提供が求められています。ここでは、事務所衛生基準規則における休養と休憩について解説します。

休養室とは

休養室とは、職場で体調が悪くなった際に、従業員が使用できる施設のことをいいます。
事務所衛生基準規則では、常時50人以上もしくは常時30人以上の女性従業員を雇用する際には、従業員が横になって休める休養室を設けなければならないと規定しています。

休憩室とは

休憩室とは、休憩時間中に従業員が食事したりリフレッシュしたりする目的で使用するスペースです。
休憩室の設置は、事務所衛生基準規則において従業員のリフレッシュ環境を整えるための重要な場所と定義されています。

快適な職場環境づくりのために

快適な職場環境は、従業員の健康と業務効率に大きな影響を与えます。
職場衛生基準規則の規定を遵守することで、安全かつ健康的な労働環境を整備できます。

また、定期的な清掃や有害物質の除去をおこなうことで、清潔なオフィスを維持することが大切です。
さらに、照明の明るさや騒音対策も従業員の健康に大きな影響を与えるため、快適な労働環境を実現するためには、これらの改善も検討する必要があります。

まとめ

この記事では、事務所衛生基準規則の概要とその管理項目、規則に違反した場合の罰則や規則改正後の変更点などについて解説しました。
事務所衛生基準規則は、事務所内の衛生環境を維持するための基準を設け、従業員が安全かつ健康的に働ける環境を整えるための重要な指針です。
この規則では、換気や温度、空調設備や換気設備、給水と排水設備、トイレや洗面設備などの管理項目が設けられています。

また、2021年12月の改正で、照度基準やトイレの設置基準、休養室に対する要件や事務所内の室温などが追加され、より充実した衛生環境の提供が義務づけられました。
規則の遵守は、従業員の安全や健康はもちろん、快適な職場環境の実現に貢献し、ひいては企業の成長にも繋がります。

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